--4. どう答える?よく聞かれる質問--
人気の求人ほど、応募者が集まるもの。定番の質問でも、他の応募者と一味違う回答をすると、印象もぐっと変わってくる。
※ 歯科衛生士(正職員)をモデルに記載していますが、歯科医師・歯科助手でも原則は同じです。
同じ回答は防ごう
やる気は負けない自信がある
「きつとお役に立てる」「何でもやりま到なども同じ。
やる気はあつて当然の前提条件。
そのうえで、実際に何がやれるのかが問題。
それを具体的に説明できない抽象論では説得力がないばかりか、ひとりよがりな無責任発言のように聞こえてNG。
ステップァップのため
「新しいことにチャレンジしたくて」「キャリアを積みたい」なども注意。
どういう分野でどうなりたいのか………目標を明確にして使わないと、単なる“マニュアル表現"になつてしまう。
前向きな姿勢をアピールしているつもりでも、またかとウンザリされるだけ。
やりがいのある仕事がしたい
もともと“やりがい"は、本人次第。
どんな仕事や環境でも、自分の役割の中に意義や興味を見つけて取り組んでいくことで手に入るもの。
それを歯科医院や周囲のせいにする・・・責任転嫁の傾向がマイナスの評価になることも。
小さな歯科医院で
「音ながらのやり方」なども注意。
まさに“ビミ∃一"な表現で、そこに好感をもつたことやほめるつもりの発言でも、気持ちが伝わる力`どうかは面接担当者次第。
「これから成長する歯科医院」「ヒューマンな手法」などと適切な言い換えをしないと、思わぬ落し穴に。
なぜ当医院に応募したのですか?(志望動機に関わる質問)
■他の医院でもいいのでは……と思わせない。志望動機に注意!
この質問は、志望動機を尋ねる質問の代表格だ。
「経理経験者の募集をされていたので、応募しました」といった言わずもがなの答えは常識外れ。
同じ職種や条件の求人が複数ある中で、「なぜ、この歯科医院を選んだのか」を説明する必要がある。
この応答で第一にチェックされるのは、入社意欲。
「本気で働きたい歯科衛生士の応募者なら、歯科医院選びも慎重なはず。
採用されればどこでも……といった姿勢の感じられる回答は印象が悪い。
できる限り事前に歯科医院情報を入手して、自分の歯科医院選びを分析的に話すことができれば、ライバルとの差別化を図れるだけでなく本気の気持ちが伝わる。
この仕事を選んだ理由は何ですか?(志望動機に関わる質問)
■仕事への理解と行動意欲の強さをアピール
これも志望動機を聞く質問だが、未経験者やキャリアの浅い歯科衛生士の応募者に投げかけられるケースが多い。
「長期勤続してほしいので、興味本位の応募でないことを確認したい」と「仕事内容を正しく理解しているかどうかが問題」といった意見が多い。
業界や業務に対する理解の度合いを示すために必要なのは、その仕事に抱いている気持ちの説明だけではなく、自分がもっている知識・技術 経験が入社後の業務とどうリンクするのかまでを説明すること。
そのほか行動意欲の証明として、すでにスタートしている勉強などを具体的に伝えらねると、経験値の低さをカバーできる。
志望業界や職種によっては採否を決定するほど重視されるので、あらかじめ自分の考えを整理しておきたい。
退職(転職)を決心したのはなぜですか?
■応募先の歯科医院で実現できる目標をクローズアップ
採用したら勤続できるか……が主な狙い。
また退職(転職)の決断という場面を通じて、仕事への取り組み姿勢や歯科衛生士の応募者が職場に期待していることを探り、マッチング度合いも見ようとする質問だ。
志望動機につながる前向きな理由、前職場では不可能だった仕事上の目標を理由にあげるのが基本。
また、この質問に対する回答は、とかく減点評価となりがちなので注意。
経営方針や上司への批判、人間関係のトラブルなどに触れるのはキケン。
当然だが、待遇面の不満を理由にするのもNG。
どの歯科医院も似たような状況はあり、応募先が自分の考える許容範囲内であるかどうかはわかりにくい。
「退職理由に疑念を感じたら、なぜ当医院で同じことが起きないと考えるのか説明してもらいます」といった厳しい見方に備えておこう。
以前の仕事内容について話してください
■希望に関連した経験をクローズアップ
職務経歴書をくわしく書いていても、必ず間かれる質問。
前の歯科医院で携わっていた仕事内容から、経験値や実カレベル、また新しい仕事への適性などを探るのが狙い。
関連して組織構成やチーム内での位置づけ、仕事の進め方などを聞かれることもある。
重要なのは、志望先で役立つスキルや適性を、「どこで」「どのように」「どのくらい身につけたか」を伝えることだ。
当医院のことをどの程度知っていますか?
■知ろうと努力した姿勢を見せることが大切
この質問は、歯科衛生士の応募者に歯科医院や仕事の説明を行うとき、面接担当者がどの辺から話せばよいか ‥を知るために間かれるケースがほとんど。
その意味では率直に答えてよい質問だが、「求人広告は拝見しましたが、それ以上のことはわかりません」というのでは、入職意欲を疑われても仕方がない。
志望動機や仕事姿勢のチェックにつながることも念頭におき、インターネットやキャリアコンサルタントを通じて、限られた時間で応募先の歯科医院についての情報収集に努力した実績を伝えることが大切だ。
あなたの長所・短所は?
■回答と面接で与える印象のギャツプに注意
とくに人物重視の歯科医院でよく聞かねる質問。
業務適性・職場適性にも通じる性格を問うのが狙いなので「長女のせいかシツカリ者で、半面では苦労性です」など、私生活レベルの回答は避けたほうが無難。
また注意したいのは、回答内容そのものよりも自分の性格についてどのような説明をする歯科衛生士の応募者なのか……という面から、常識やコミュニケーション能力を判断されるケースが少なくないことだ。
「私の長所は誠実で努力家、協調性・積極性にも優ね、短所は謙虚すぎる点……などと言う歯科衛生士の応募者には、ちょっと首を傾げますね」との声もよく間く。
本人の回答と実際に受ける印象にギャップがあると、いまひとつ信頼感に欠けるので自己分析はシッカリしておきたい。
抽象論でなく、自分らしい表現も工夫していく必要がある。
前職給与額(希望給与額)はどのくらいですか?
■応募先により、質問の意図が違うので注意
「前職給与額」は採用後の給与設定の材料になるほか、給与ダウンに対する打診、また実カレベルの目安にもなる。
当然だが、多めに言うのはタブー。
採用後にウソがわかるとトラブルになる。
また「希望給与額」は、歯科衛生士の応募者の希望額と歯科医院の考えている額にギャップがないかをチエツクするために間かれるケースが多い。
″希望″だから……と高めの金額を言うと危険。
この質問に対して具体的な金額を出すのは「それ以下なら入職辞退も考えます」という意味になる。
そねを踏まえ、慎重に話すこと。
残業がありますが対応できますか?
■条件説明がなければ、まずはイエスと答えたい
知っておきたいのは、この質問は必ずしも残業が多い歯科医院で聞かれるわけではないこと。
いわば面接の″お約束質問″のひとつとして「回答から、勤務に対する姿勢や柔軟度をチエツクします」という狙いがある例も少なくない。
繁忙期の残業なら特別なケースを除いて「できません」と答える歯科衛生士の応募者はいないはず。
対応できるかどうかは、当然ながら残業量や内容次第。
何の条件説明もない場合は、反応を見られている……と考えてよい。
質問をされて、 一瞬答えに詰まったり残業の量などを逆質問するのはNG。
まずは即座に「できます」と業務対応の基本姿勢をストレートに伝えてしまうのがテクニックだ。
そのうえで、希望条件に合う歯科医院などうかをチエツクすることをおすすめしたい。
採用されたらいつから出社できますか?
■確実に出社できる出社予定日を告げたい
歯科衛生士の応募者が、まだ在職中であれば間違いなく出てくる質問のひとつ。
欠員補充を目的にした中途採用では、採用後、いち早い出社を望む歯科医院が少なくない。
だが、在職中であることを告げて選考対象にされたのであれば、猶予は与えてもらえると考えてよい。
通常の猶予期間は、2週間〜lヵ月程度。
職種やスキルレベル、応募先歯科医院の事情、あるいは交渉次第で、それ以上の猶予が与えられることもある。
面接担当者が知りたいのは、いつまで待つ必要のある歯科衛生士の応募者か、実際に待つ価値があるのか……という2点。
回答を通じて、仕事姿勢や意欲をチエツクする狙いもある。
その意味でも避けたいのは、在職中なのに「採用されたら、すぐ出社します」などという答え。
任されている仕事を途中で放り出す、責任感のない歯科衛生士の応募者と思われるだけだ。
ほかの歯科医院を受けていますか?
■隠す必要はないが、ひとことをプラスして
「真剣に転職活動をしていれば″かけもち応募″も当然ですから、それで評価が下がることはありません。
この質問で知りたいのは入職意欲。
内定後、その歯科衛生士の応募者の入職辞退の可能性についても、探っておきたいのです」というのが、面接担当者の気持ちだ。
一般に、応募条件などの関係で選考対象者が少ない求人歯科医院でよく間かれ、「○○クリニックも募集していましたが、もう受けましたな?」などの直球もある。
隠す必要はなく、もし受けているなら正直に話してOK。
聞かれなければ、具体的な医院名などを言う必要はない。
ただし、必ず伝えたいのは「貴医院に採用されたい」という気持ちを伝えるひと言。
その歯科医院がほかの応募先と違う魅力的な点を示すなど、改めて志望動機や入職意欲をアピールしよう。
あなたの″強み″は何ですか?
■同レベルのライバルと何が違うかを考える
これは言い換えれば、「あなたを採用するメリットはどこにあるか教えてくね」というメッセージ。
応募条件に合致していることや意欲を伝えるだけでは回答にならない。
画接担当者は、同レベルの歯科衛生士の応募者が複数いる中で、その人を選ぶ理由を見つけたくてこの質問を発しているからだ。
なお面接終盤の「自己PRしてください」はこの質問と同じ狙い。
また職歴全般の話をはじめたりするのはピント外れにも。
最後に何か質問がありますか?
■不要な質問をするより入職希望を再アピール
ひと通りの質疑応答が終わったとき、出てくる質問。
「最後に何か言いたいことはありませんか?」などと聞く面接担当者もいる。
この質問は、いわば面接終了を告げる″儀式″のようなもの。
もし、質疑応答の中で聞きもらしたことがあれば、最後の確認チャンスとするのはかまわないが、何がなんでも質問をしなければ……と思うのはマチガイだ。
必要のない質問で失敗しないよう注意したい。
とはいえ「何もありません」と受け身で終了するのはソン。
モデルトークを参考に、ここでしめくくりの入職希望を再アピールをしよう。
年代別の注意ポイント
■20代前半
意欲を見るための「志望動機」が重視される傾向があるが、新卒入職のときの面接の記憶が新しいだけに注意したい。
同じ意欲アピールでも中途採用の場合は“未知の可能性"ではなく、仕事経験をベースにした伸び率や貢献度を伝えることが大切。
浅いキャリアでも歯科医院勤務の経歴があれば、同年代の新卒やフリーターとは一線を画す。
職歴の中から・売り°を見つけて、面接では自分から積極的にアピールを。
■20代後半
キャリアアップ転職をしやすいが、経験内容による実力格差が大きいので面接では「前職の仕事内容」をとくに詳細に問われる。
また近い将来に応募先歯科医院の中核的な戦力になることが期待され、その分、勤続意思や仕事姿勢を見る「退職理由」が厳しくチェックされたり、目標達成への努力/
後輩指導/業務提案と言った主体的な業務への取り組みも判定基準になる。
履歴書や職務経歴書を作成する時点から、それを意識しておかないとバリエーション質問で岨館が生じがちなので注意。
■30代前半
即戦力を求める応募先歯科医院へのアプローチがしやすい。
ただし評価されるのは“多様な知識 経験"でなく、「応募先で利益貢献できる知識/経験」。
「前職経験」を問う質問に対して、いかにピントを絞つた応答ができるかが重要。
また前職場や自分なりの業務スタイルが身についている分、「志望動機」「転職理由」では職場への適応や柔軟性がチェックされる。
そのほか職場リーダーとしての指導 管理の実績も選考基準となるなど、整理すべきことが多いので事前の準備を念入りに。
■30代後半以降
二極化が見えはじめる年代。
専門的な実務能力や管理能力を生かした転職のほか、やむをえない事情による異分野転職も多くなる。
「前職経験」に関しての注意点は30代前半と同様。
応募先の歯科医院選びの優先事項・妥協事項の設定など、心構えも含めた面接への準備が採否に影響を及ぼす。